真夏の夜の夢

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四日の間、さっちゃんはずっと私の傍にいるわけじゃない。 ふらりと消えて、ふらりと戻る。 そして、さっちゃんのお母さんがくれたキャットフードを食べたり、日陰の段ボール箱で寝ていたりする。 いつも何処に行ってるの?と猫に訊くと、さっちゃんは夢の中で答えた。 『 友達の家とか親戚のところ』 地元に残る同級生も、段々減った。 私のように、都会の独り暮しを選ぶ人もいれば、家庭を持ち、諸事情で遠方に住む人もいる。 お盆に帰ってくる人口も減ってきたらしい。 遠すぎてなかなか帰省が出来ないのは仕方ないけれど、実家よりも旅行を選ぶ薄情者も増えた。 『皆いなくなっちゃって寂しい。それにね、逢えても追い払われる時もあるの。結婚した友達の子供がアレルギーとか、奥さんが猫嫌いとかで。猫アレルギーなんてあるんだね。私が死んでから、色んな事が変わっちゃって、気持ちがついていけないよ』 体育座りのさっちゃんは、そう嘆く。
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