プロローグ

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あっ! すっかり自分達の世界にのめり込んでしまい、自己紹介とかはまだでしたね ごめんなさい 川村美雪といいます 半月前、20代と名残惜しく決別したばかりで、30代という新たな年代にまだ向き合えないで居る 家族や友人達に、 「30歳おめでとう♪」 と言われて、うれしいどころか、なぜか凄く悲しい気持ちになってしまいましたね そして今、私の腕の中で静かに寝息を立てているのは、 黒坂まゆり 私と一緒に某大手都市銀行で、テラをしています 私より5歳若く、仕事での凛とした姿からは誰もが想像できない程、私と二人っきりの時は、物凄く甘えて来る♪ もう3年間もこうして最高に幸せな時間を過ごしてきたのに、それが終わると決まって、こうして、顔を真っ赤にして恥じらう 最中はあんなに乱れていたのに… そのギャップの大きさにびっくりしたりするけど、それを含めて、まゆりの全てが愛しい! 全力挙げて守り抜き、大切にしていかなくてはいけない! 私達、どういう経緯で関係になったのかは後日、お話するとして、まず、私はどういう人間(オンナ)なのかを説明させてください 少子化・少子化と盛んに叫ばれ、この問題にひどく苦しめられている今日の日本において、私の家族はかなりレアな存在になってしまいましたね! 都内屈指の進学校の高校に教科書や参考書等の教材を届ける仕事をしていた母と、そこで世界史を教える父が出逢い、そして、夫婦になるのに、そう時間を必要としませんでした 結婚した翌年に第一子が産まれると、相思相愛の夫婦は、5人の娘・3人の息子という子宝に恵まれた 母が32歳に私が三女・5番目の子供として生まれた時、厚生労働大臣は自ら我が家に訪れ、直接両親に感謝状を手渡した 10人の大家族は皆仲が良く、楽しい毎日でしたが、大家族なりの悩みも多く、特に小学生時代に同級生の誹謗中傷がひどく、それらに対して何一つ言い返したりする事ができなかったのは、今も情けない気持ちしかない
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