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震えもおさまって、伝わる体温で熱を取り戻した指先を、きゅっと強く握られて首を傾げた。
若干頬が赤いように見える陽介さんが、どもりがちに声をかけてくる。
「……あ、あの」
「なんです?」
何かを堪えるような、若しくは逡巡するようなその複雑な表情は、彼が何を考えているのかも良くこちらには伝わらない。
眉根を寄せると、一拍の間を置いて彼が口を開いた。
「俺は、怖くないですか」
「……はい」
さっきと同じ質問を繰り返され訝しく思いながらも頷くと、ほっとしたように口許が綻ぶ。
その表情に胸の奥がきゅっと痛んで、だからすっかり反応が遅れてしまった。
陽介さんが俯いて、握った僕の手に顔を寄せる。
彼の旋毛の向こうで、指先に温かく柔らかいものが触れるまで、まるでスローモーションの世界にいるようで、まったく反応することができなかった。
彼が再び顔を上げてくしゃりとした笑顔を見せ、がががっと僕の顔に熱が集まるのを自覚するまで。
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