第七章 土の声を聞く

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 俺が再び荒練りをすると、横で岩城が菊練りをしていた。 「あ、そうだ。岩城さんに土産があったのです。 俺、前に菓子を焼いていたので、店に行ってきました」  焼き菓子の詰め合わせであった。 「ありがとう。子供が喜ぶよ」  しばらく練っていてから、今度は弁当を持たされていたことを思い出した。 「岩城さん、お茶ありますか?朝食にしましょう」  美奈代が、夜中に何か作っていると思ったら、弁当を用意していた。  散らし寿司の稲荷で、かなり手が込んでいる。 「おいしそうだね。教室の皆さん分の練りも終わったし。いい区切りだね」  工房の片隅のテーブルで、弁当を広げていると、 岩城の奥さんがサンドイッチを持ってきてくれた。
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