第一部プロローグは絶叫で

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◇ 「アスタロト!」  地下大洞窟に人間の倍は背丈があろうかという魔物が、黒と紫の瘴気を漂わせている。  三人の男女が鎧を着込んで、それぞれの獲物を手にして対峙していた。 「くそ! さっきのベリアルで最後じゃなかったのかよ!」  唇を真っ赤な血で染めている悪魔。いや悪魔などと表すのでは不足だ、あれは魔王。  幾千幾万の上級悪魔の中でも特に力を持っている地獄の公爵。  全身黒づくめで、右手には蛇が絡みついている。  左手を軽く横に振るう。すると目には見えない衝撃波があたりにまき散らされた。 「きゃあ!」 「アリシア!」  彼女は虚ろな目をして倒れてしまう、手にしていた剣が折れてしまっていた。  片手を失ったルークが剣を捨ててアリシアを抱える。肩からは大量の出血が止まらず、意識がいつまで持つか解ったものではない。 「精神に攻撃を受けたか。洞窟の外にヒーラーが待っているはずだ」  たった一人残った男が二人を庇いアスタロトとの間に割り込む。  手にしている剣には所々亀裂が入っている、魔法が付与された銘刀だというのにだ。
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