カルテ6ー2

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"買い物中" やっと遅いレスをしてなんとなく買い物をする。 奴らに解放されたのは11時前だった。 家まで送るというブレイドさんに ここで、と告げたのが駅の近くのスーパー。 はぁ、めんどくせ。 アリバイ作りかよ。 いや、なんでアリバイなんて作らなきゃなんないんだ。 バカみたい。 「なにやってんのよ、私」 前はこんな事で悩む必要なんてなかった。 ボスは私のすぐ近くにいたけど 白石の事も知ってたし 私の事も知ってたから 何も気を遣わなくてよかったんだ。 それがどうだよ。 私が、陣内に気を遣わなきゃならないなんて 世の中間違ってるでしょ。 ……。 手に取ったスパークリングの瓶をカゴの中へ放り込んで気付いた。 「……ああ、そうか」 カゴの中はアルコールでいっぱい。 と、いうかアルコールしかなかった。 買い物というと…弁当か魚肉ソーセージか、アルコールか その3種類しか買っていないことに気付く。 もちろん、他にも必ず必要な生活雑貨なんかは なくなったら買うようにはしてるけど…… でも、滅多に買わない。 こないだなんて、洗濯洗剤がなくて 思わず台所用洗剤を洗濯機に放り込んだくらいだ。 ……えぇ、えぇ何とでも言いなさいよ。 仕方なくの処置なんだから。 会計を終えて、ピコンと立ち上がったラインマーク。 "どこですか" 陣内だ。 どこだと聞かれたから "駅前大通り" だとレスする。 "どっちがわ?" きっと、近くにいるんだと思った。 "スーパー" メッセージに直ぐ既読マークが付いた。 「有馬さん」 「なによ」 スーパーを出たところで陣内が私を見つける。 私は扉が開く前から陣内がいたのを知ってた。 「また、アルコールばっかり」 「……気付くとさ、毎回、こればっかりになってんだよね、カゴ」 「ダメじゃないですか、身体壊しますよ? それに美容にも悪いし」 スマートに荷物を奪い取りながら 「おもっ」 そう口にして私を車まで連れていく。 「あ、れ?」 「どうしました?」 首を傾げた私の前で助手席の扉を開いた陣内は 私とは反対側へ首を傾げた。
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