第1話 無限ダンジョンにハマりました

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無限ダンジョンにハマりました。一言でいえば、まさしくそうとしか言えない。そんな状況へ陥りました。  『前略 母上 調子こいて、俺は意気揚々と仲間と一緒に噂のダンジョンへ繰り出しました。その結果どこをどう通ったのか分かりませんが、噂のダンジョンとは違う場所へ入り込み、ダンジョンから出られません。どうしたら良いのでしょうか。 母上、俺はここで死ぬのでしょうか。これが母上へ初めての手紙で、遺書となる事をお許し……』 「駄目です!」 後ろからいきなり元凶の女、ヒーラーのおっちょこちょいの金髪巨乳美女のアリサが頑丈な杖で殴ってきた。殴られた箇所が、鈍痛で疼く後頭部を抑えながら振り仰ぎ見てみれば、興奮で頬を染め潤んだ蒼い瞳の彼女と視線がばっちり合う。その前に下から見上げた美しい曲線の双丘を少々堪能した事は言わないでおく。 彼女は同じ学校のヒーラー科所属だ。学校から噂のダンジョンを調査しろと、授業兼依頼で今回初めて組んだ子だ。そして、もう一人……。 「いつまで床に座って手紙書いてるんすか先輩」 離れた場所で、頭の後ろに手を組んでダルそうに立つ騎士の学校の後輩、サルンがキモイと文句を言って来た。彼の足元には蜘蛛の怪物アラクネ幼体三体。明らかにそっちの方がキモイと思うのだが、そこは指摘せずに手紙を腰のベルトに挟むと立ち上がる。 「よし、状況を確認しよう」 場所はクリスタルの装飾や大理石の彫像、綺麗なタイル張りの美しい超巨大な建物の中。俺達は綺麗と言って走り出したアリサを追って、野ばら咲き誇る美しい門から奥へ進み、青の色の扉を潜り先に進んだ。真っ直ぐ進んだ筈だ。ずっと続くステンドグラスの美しい白い廊下、流石に可笑しいと引き返したら、帰りもずっと廊下が続いている。 「はい、何か言う事がある人、挙手!」 「はーい。普通に考えて道を間違えたんだと思います」 アリサが指さす先、庭を挟んで向かい側に同じ様な渡し廊下が見える。真っ直ぐにしか進んでないのに何故そっちが正解だと思うのか。 「先輩、もう一層の事、窓割りましょうよ」 「おい、待て!」 人の忠告を聞きもせず、サルンが鞘ごと剣を抜いて窓へ叩き付けた。ガラスは無残にも割れ、枠が変形する。人一人がギリギリ通れそうな隙間が出来る。そこへ体をねじ込んで庭に出た。出られた事に安堵した早々、庭に立っていた筈のサルンの姿が消えていた。
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