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やってらんない。マジ馬鹿にしてんだろ。俺はムカついた気持ちのままに、ゴミ箱を蹴り付けた。
ガンッて、思った以上にデカイ音が辺りに響き渡り、思わず肩を竦めた。
あいつのせせら嗤う声が聞こえた気がした。浮気されているとは思っていた。時々、嗅いだことのない匂いを纏わり付かせていた。キスマークと思しき痕を付けていた。極め付けは最中に呼んだ名前だ。
ハルキ・・・奴は何度も呼びやがった。その度に気持ちも、熱くなった体も冷めて行った。問い質した俺に「ああ、悪い」笑いながらあいつはそう言ったんだ。
浮気してんのか?って、もういい加減腹を括らなきゃって訊いた俺に「お前とな」奴は引導を渡しやがった。
もちろん殴った。グーで殴ってやった。
そこは後悔していない。鬱憤が晴れていっそ清々しいほどだ。「もうやめてやる。お前の顔なんて2度と見たくない。金輪際連絡してくんな」そう言い捨て、奴をホテルに残して出て来た。
なのに、何でこんなにイライラしてるかと言えば、あの野郎が俺を浮気相手だって言いやがったからだ。
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