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(春は嫌いだ)
舞い降りる花びらを見ながら、隼人は校門の前で立ち止まっていた。
(何が出会いの春だ。)
隼人にとって『出会い』は意味のないものにしか思えなかった。
今まで、どんな出会いがあったのだろうか。みんな、うわべだけの薄っぺら。そして、みんな去って行った。それはまるで、車窓から眺める景色のようだ。
(母さん、少しは親孝行できましたか?)
そうつぶやくと、ようやく重い足を動かし。校門を通り抜けた。
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