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目の前には、転移魔法陣で飛んできた王女が、手を俺の目の前でフラフラ振ってる。
感覚離脱を解除して一発目の景色がコレだ。
「楽しめました?とりあえず無事な様子…」
俺がそう言ってやると、王女は顔を真っ赤にして、俺の目の前の手を引っ込める。
「い…いえ、何の反応も示していただけないので…
ひょっとして亡くなっているのでは?と心配になりまして」
…どうも彼女の中では俺は死んでいたらしいね…
…もう死ぬのは御免なんだが…
「先程まで、俺は感覚…
視覚と聴覚を、貴女の近くに飛ばしていたんです。
貴女を転移させた後、魔法陣の魔力を消す目的と、時間稼ぎの目的で、牢を爆破してました。
なので、転移と私の感覚が戻るまでの、時間差があっただけです」
俺の言葉でようやく理解できたのか、目の前の王女は静かになる。
「ともかく、座りません?
そこにテーブルあるんで」
俺が指さす先にはテーブルとイス。
王女は俺の指さすままに座ったよ…テーブルに…
「…………天然ですか…そうですか…」
俺の言葉でようやく自身のミスに気付いたようだ…
「こ…コレは…気が動転していて…」
王女が慌ててテーブルから降りると、椅子に座りなおしていた。
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