第2章 リザロフの休息

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第2章 リザロフの休息

時間は有限だ。 世界に広がる広大な土地が自分のものでないように、同じものが自分のもとに無限にあることなどありえない。 人は限られたなかで精一杯生きてこそ無限の可能性が見えてくるのだろう。 だから俺は、有限であることを満喫することに決めている。 ヒイロは今日も行きつけのカフェで女性と語らった。 「あなたのような聡明な女性はこの王都でもそうはおりません。僕ならあなたをひとりこの街に残していくなど、そんな寂しい思いをさせることは考えられない」 カフェで女性の手を取って、熱いまなざしを向けているのは、国家騎士団の旦那を持つ若くきれいな女性だった。 国家騎士団は遠征も多く、いまはヤムゼムとの国境を越え侵攻の真っ只中だった。 今の国王は、『紅き獅子王』とよばれ武力に秀でており、国土を徐々に拡大していった。 元々、小さな村に過ぎなかったアルドゥムを国とよばれるまでに出来たのは王の力によるものと言えるだろう。
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