プロローグ

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 九九がこの家に来た夜。その第一声を熊野御堂は思い出してしまう。 「……動物園みたい。なんだか楽しそうですね」  九九自身が動物という意味なのか、熊野御堂が見世物という意味なのか? どちらなのかは不明だけれど喜んでくれているようだった。  そして、いまに至っている。  一曲唄い終わって満足したのか、九九が椅子に座って本を読み始めた。どうやら洋書のようだ。  地下一階の部屋は、バスルーム、トイレ、キッチンから洗面台まで生活に必要な物は完備している。食料や消耗品さえあれば、部屋から出ることなく生きていけるだろう。  バスルームとトイレの天井だけはガラスではない。  九九が腰掛けているのはデスクトップ型のパーソナルコンピュータが置かれている机の前だ。パーソナルコンピュータはインターネットにも接続されている。
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