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熊野御堂はタブレット端末の画面を切り替えて春に見せる。
「これは何? 原稿用紙にしては少し変わっているね?」
と、春が覗き込みながら言った。
写っているのは真っ赤な原稿用紙だ。そこには白い文字で言葉が綴られている。手書きではなく印字されたもののようだ。それは短い物語になっていた。
「読んでみる?」
熊野御堂はタブレット端末を春に渡す。
「どれどれ」
春が受け取ったタブレット端末を胸元まで持ち上げて、読み上げ始めた。
その姿は子どもたちに読み聞かせをする人気のある教師のようでもある。
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