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どんどん拓馬の声と、足音が近づいてくる。
どうしよう。
俺、手にローションと道具持ってるんですけど!
「聖?」
「わー!」
慌てて風呂の中に投げ捨ててから、脱衣所から顔を出した。
「風呂入ろうとしててびっくりしたじゃん。てか、帰るの全然遅くねえし」
「……可愛らしくおかえりも言えんのか」
不満そうな拓馬とはよそに、俺はすげえドキドキしていた。
浮気とかするつもりは今後一切ないが、なんか浮気したみたいな罪悪感が押し寄せてくる。
「ご飯、作ってるから。シャワー浴びるから待ってて、一緒に食べよう」
「お前が作ったのか」
「何、その顔」
拓馬は喜んでいいのか悪いのか複雑そうな顔を浮かべている。
露骨すぎるだろ。食べてから驚いても知らないからな。
「てな訳で、さっさと着替えて来い。俺もシャワーする」
体よく脱衣所から押し出して、安堵の息を吐いた。
はあ。良かった。いや、タイミング悪過ぎなのか。
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