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夏生の家についた。
が、インターホンの前で動けずにいる。
ボタンを押そうとする指が震える。
一刻も早く顔を見たい、しかし、怖い。
しばらくどうしようもなく動けずにいると、玄関のドアが開いた。
「柚月!」
そこには、驚いた顔の春太がいた。
春太はすごい勢いで駆け寄ってくると、
「お前!何してたんだよ!兄ちゃんたちは学校で会えるみたいだけどさ、俺、春から全然会えなくてすげえ心配したんだぞ!俺の誕生日だって終わっちゃったんだぞ!!」
春太の誕生日は四月だった。
いつも、夏生の兄弟たちの誕生日は、俺も一緒にケーキを食べるのだった。
「ご…ごめ…」
「ごめんじゃねえよ!」
春太の瞳に、もりもりと音がしそうなほど涙が溜まる。
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