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「なんでそうなるんですか」
「前に落ち込んでたとき、恵次くんのおごりでラーメン食べてから仕事の調子戻ったでしょう」
「…戻ってました?」
「ええ、とっても。人のお金でラーメン食べたら解決する類の悩みなんじゃないの」
「どんな類ですか!自分がラーメン食べたいだけじゃないんですか」
「ばれた?」
「ばれました…そういえば、恵次も仁川さんに会いたいって言ってたな」
「ついでみたいに思い出さないでよ、真っ先に言いなさいそういうことは」
「あはは、今日は無理ですがまた今度ラーメン行きましょう」
「恵次くんのおごりで」
「もちろんです」
恵次のことを考えると安心する。それは、たぶん…裏切られない関係だから。
羽岡は…と考えていると肩に衝撃があった。仁川によってまた叩かれたらしい。
「今日はもう帰りなさい。議事録は明日の朝イチで仕上げること、これは上司命令よ」
「…はい」
仕事に支障が出るくらい、羽岡のことを考えている。問いばかりが思いついて答えは出てこない。
追い出されるように退社し、堂々巡りの思考を抱えてマンションまでたどり着く。
そこに駐車されたドイツ車の忘れもしないナンバーを見て丞は動けなくなった。
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