不幸、売ります。

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『興味本意に、不特定多数の人達に見られたら嫌だとか思わないの?』 妻の言葉が、甦る。 今、俺の妻と息子の死が、想像力の欠片もない、他人の不幸を楽しむ人間共の娯楽になっている。 俺がそうしたように。 「うああああああああああああああ!!!!」 狂ったように泣き叫び、ノートパソコンを床に思い切り叩き付けた。 踏み潰し、踏み潰し、踏み潰し。 俺のパソコンは、もう再生どころか、電源もつかない。 しかし、壊れた機械の向こう側では、きっと再生回数は伸び続けているだろう。 激昴(げきこう)に疲れきった俺は、その場にへたりこんで、虚ろな目線を宙に漂わせる。 暫くして、ふと、気配を感じた。 ゆっくりと辺りを見渡す。 部屋の中にも、窓の外にも、誰もいない。 だが、確かに感じた。 ━━━━━誰かの視線を。  
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