星の迷宮

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ここは暗すぎて駄目だ 私が不都合を感じた瞬間 星のルクスが数万倍に跳ね上がる 星は呼吸をし会話をし 互いに連動し反射をし 触れ合っていたし 混じり合っていた なるほど 無軌道に点在する星を眺めて 白鳥だの大熊だのと まったく理解できなかった ギリシャ人の 神話を星座にあてはめた意味も この景色を見れば少し合点がいく ゴッホが糸杉で描いたものに似た 不規則に点在している様に見える 惑星の配列は それぞれの欲求や感情 或いはその行動や思考まで 膨大な情報が 実は予め綿密に整理されていて ひとつのシナリオになっている 気すらする 濃紺の闇にも こんなに 沢山の色が混在している事も 世の闇に人の感情が溶けている のと同じ 気すらする 暗転 闇も星も 元の明るさに戻ったが 先程までの景色を見る前と後では 同じ闇も違って見えるものだ 闇の理解が深まると 闇も畏れなくなる むしろ 闇を愛しく思ったりもする そう思って隣を見ると 厭らしい眼差しでこちらをみている悪魔の口角が上がった さて そろそろ城に向かわねばならない 遠くまで続く薔薇の生け垣を 真っ直ぐ ただ真っ直ぐ突っ切れば良いだけの事さ… 妖しい薔薇の香に誘われるように 私は薔薇の生け垣に足を踏み入れた チクッ… 痛いっ…
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