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向かい合って仕切り直すみたいにキスをして、何とも照れ臭く笑い合って見つめ合う。
どちらからともなくもう一度交わしたキスは、欲にまみれて深く濃くなって、互いの味が混ざり合って分からなくなるくらいに長く続いた。
それなのに唇が離れた途端にまた欲しくなって、何度も何度も唇を交わす。
唇の感覚がおかしくなりそうなんて頭の片隅に思い浮かべて笑いながら、優しい手のひらに促されてそっとベッドに仰向けに倒れ込む。背中を支えてくれる隼人の手のひらも、愛しくて優しくて。
唇を重ねたままで肌に伸びてくる手のひらにぴくりと躯が跳ねるのを、隼人は愛おしそうに眺めては、もっと感じてと妖しく囁いて手のひらを滑らせていく。
切なく震える中心を敢えて無視するつもりらしい意地悪な手のひらは、だけど直接的じゃないくせにいとも簡単にオレを高みへと昇らせる。
口づけの合間に溢れる声を隠すつもりで食いしばっていたのに、我慢しないでと囁かれて、恥ずかしいながらも素直に零す。
自分でも恥ずかしいくらいにオンナノコめいたその嬌声を、だけど隼人はからかいもせずに嬉しそうに聞いてくれるから。
堪えようと力を入れていたどこかから、そっと力が抜けていくのが分かる。
「大丈夫だから。もっと気持ちよくなって」
「はやと、は?」
「オレはもう……咲哉が気持ちいいって出してくれてる声が、気持ちいい」
「っ……」
「だから、我慢しないで、聞かせて。全部」
「ぁっ、ッン」
聞かせてと言いながら、隼人は思い出したみたいに唇を塞いでは、舌を絡めて吸い上げてくすぐるみたいに口内で動いては弄んでいく。
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