2章 捕縛の掟

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・ ザイードは愛美に覆い被さりながらまた枕元に手を伸ばした。大小様々な白い陶器の壺が並ぶ、その中の一つの壺の蓋を開ける。 中から黄色い錠剤を三粒取り出すとザイードはそれをまた、愛美の膣内に入れていた。 「──…!」 「慌てるな、ただの避妊薬だ」 「避妊……」 「俺の子を身籠られちゃかなわんからな──…」 ザイードは冷めた目付きで上から見下ろす。宗教上、子をおろすことを許されない国だ。例え盗賊であってもそういった事への掟には厳しいのだろう… 避妊してくれるだけでも助かる。そう思うより他はない── 愛美は抗うことを諦めていた。血を見ないだけマシだ── 避妊されて犯されるならまだマシ… 何とか自分は恵まれてると思い込むように暗示をかける。 この男は女を抱くことに慣れている── 酷いことはそうしてこないだろう。愛美は半ば祈りながら目を堅く閉じた。 「中で溶けるまで15分かかる──本来なら女が気を利かして先に仕込んでおく薬だ…お前はほんとに運がいい──」 「──…っ…これのどこがっ」 ザイードの言葉に思わず声を発した愛美の顎をザイードはまた片手で鷲掴むように塞いだ。
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