6・キミに想いを

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その少し後に、ガコンと缶を投げつける 音がして、バタバタと走り去る足音が 遠ざかっていった。 「あの人達ったら。もう、ひやひやしたわ」 緊張の解けた絢香が幸にを抱き付いてきて、 安堵のため息を吐く。 彼等がなぜあんな話をするに至ったかは わからない。けれど、二人は見事に黒川を 黙らせたのだ。 「私達、男を見る目があったわね。 彬生があんなに頼もしい人だったなんて、 しらなかったわ」 「そうね。私も」 彼の誠意は本物だ。 大智は決して幸を軽々しく扱ったりは しなかった。 『幸は僕だけのもの』 彼は幸のことを守ってくれただけでなく、 堂々とそう言ってくれた。 こんなに嬉しいことがあるだろうか。 「やっぱり私、彼のこと好きで良かった。 何度でも彬生にそう言ってあげたいわ。 幸だってそう思うでしょ?」 「もちろんよ。私も……」 はしゃぐ絢香の言葉に幸は気付く。 自分は大智にきちんと気持ちを伝えたことが あっただろうかと。 恋人になることは受け入れた。 けれど、きちんと気持ちを伝えたかというと……
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