6・キミに想いを

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「だめよ、このままじゃ!」 「え?何が?」 いきなり立ち上がり、台車を掴む幸に 絢香が驚いている。 「私、行かなきゃ。手伝いありがとう絢香」 「そんなの別にいいけど。気を付けなさいよ。 黒川さんが何かしてくるかもしれないから」 「心配ないわ。私達に手を出したら会社での 立場が無くなるのよ。あの人もそこまでバカじゃ ないでしょ」 エレベーターに乗り、絢香に手を振る。 先輩を敵に回しても、自分を守ってくれた大智。 今までもたくさん言葉や態度で幸への愛情を 示してくれた。 「私も……」 一階に到着したエレベータから降りる幸の 胸に、一つの決意が漲っていた。 「そうと決まれば、急がなきゃ」 エレベーターから降りた幸は、急いで今日の 仕事を片付けるべく、玄関ホールを勢いよく 突き切って行った。
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