第二章 学園刑事二

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「印貢、本当に応援に来てよ。 今週末に練習試合がある、俺達の高校のグランドだからさ」  俺が行くのはいいが、征響が嫌がるのは分かっていた。 今までいなかった弟が、突然沸いて出たのだから、周囲への説明も面倒であろう。 「……いや……怒られそうで」 「ならば、俺の応援に来い!」  俺が秋里の顔を見上げると、朝日が眩しかった。 俺が眩しさに下を向くと、秋里は頷いたと勘違いした。 「よし、必ず来い」  訂正できずに、俺は歩き去る秋里を見送ってしまった。 「行くのか……俺」  時計を見ると時間がない。 俺は自転車に跨ると、寺の路地を走りきり、そのまま階段の淵を使って下まで降り切った。
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