第8話 悪女の涙

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電話越しから夫の声が聞こえた。 翔悟は一瞬、驚いたが既に覚悟は決まっていたのか清々しく夫と話した。 「そうだが、言っとくけど香澄は俺の……」 “俺のもの”と言いたかったのだろう。 しかし、 「えっ?……何だって?…………」 翔悟はみるみる内に青ざめた表情を見せはじめた。 夫から、恐ろしい事を聞かされたのだろう。 今度は翔悟がスマホを落とした。 そしてそのまま急いで、服を着替えながら、部屋をあとにした。 私だけを残して…… でもそんな事はどうでもよかった。 ただ、涙がポロポロと滴り落ちるだけだった。 とうとう、バレた…… バレていたんだ…… 私の秘密を…… 一番、知られてはいけない人に……… 私はただ、泣くだけしかなかった。 その泣き声は夢の終わりを告げる鐘の音のようだった。
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