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武田も同意する。高さにして7,8メートルはあるだろうか。良くて骨折、落ち方が悪ければ死んでしまうだろう。
「となるとやっぱり今来た道を戻るしかないか。」
どうしようねと武田は立ち上がり、うーんと頭をひねる。その姿にあまり悲壮感はない。元々こういう性格なのか。それとも今の状況に絶望を感じていないのか。
「考えがないこともない。」
佐藤は視線を厨房の先に固定したまま口を開いた。
「え?」
武田はキョトンとする。
「話半分に聞いてくれ。」
そして先ほどから考えていた計画を伝える。本当に有効なのか。どこか見落としはないのか?武田の意見を聞きながら、改めて自分の口から言語化することで客観的に検証した。
「・・でもそれだったらさ・・」
武田が論理の漏れを指摘し、それを補う提案をする。
「・・だとしたらこうしよう。」
それを受け、佐藤はさらに計画の精度を高めた。
数分後。
「これなら出口を探すよりも可能性があるかも。」
うんうんと武田は頷いた。
「だが、どちらにしろ決して可能性の高い計画とは言えない。」
「まぁそうだよね。でもここにいて餓死するよりも十分希望はあるよ。」
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