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慣れた手つきでバーの上にジンジャエールとウィスキー、レモンのジュースが置かれた。背の高いグラスに氷が入る。銀色のシェイカーに氷が詰めこまれて、ウィスキーとレモンのジュースが入った。柄の長いスプーンで、砂糖かな、何か白い粉が入れられて、銀色の蓋が閉まる。かしゃかしゃとシェイカーが正確なリズムで揺れた。
グラスによく混じって濁ったウィスキーがもたもたと注がれる。ジンジャエールが弾けながら流れこんだ。長いスプーンが二つの液体を混ぜる。からりと氷同士の触れる音がして、コースターに乗せられて俺の前に差し出される。
「ケイブルグラムです」
琥珀色のカクテル。
黙って口をつけると、微かなジンジャエールの甘さとレモンの爽やかな酸味、しっかりとしたウィスキーの味に目を細める。
「これ、スコッチ?」
にこりと笑って見上げると、整った顔がむっつりと頷く。
「結構しっかりベースのウィスキーの味がする。こういうカクテルもあるんだな。なんか綺麗な色の甘いやつが出てくるのかなって」
「いつも飲まないじゃないですか。甘いのなんて」
驚きが顔に出たんだろう、甘く垂れた目が一瞬大きく開く。薄い唇が開いて、のぞいた白い歯が唇の端を噛んだ。
「それ……」
「常連の好み、覚えてないなんて、バーテン失格ですよね」
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