第1章

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「まだ早いですよ……今日はお休みだし」 寝てて、 と。 背中に回した腕で、 夏目が赤子をあやすようにぽんぽんと軽く叩く。 額に落ちた唇が笑みの形に緩むのを感じて、 秋月が瞼を開いた。 「なに……どうかしたか?」 「あのね……夢、 みてた」 囁きに、 夢?と秋月が聞き返す。 「うん……俺がこの店に来たばっかりの頃の……」 懐かしかったと夏目。 「……あの頃はいろいろあったな」 夏目の掌にまだ薄く残る傷。 自分の肩を抱くその手の上に、 秋月がそっと自分の手を重ねた。 「あれからずいぶん経つけど、 秋月さんは全然変わらないね……真っ直ぐで、 キレイ」 頬にかかる甘い色の髪を掻き上げて、 睦言めいた言葉を紡げば、 秀麗な眉がつと寄せられる。
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