恋するダイエッター

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「我慢するのやめたの?」 佐竹はテーブルに伏せるような格好で腕の上に顔を乗せて上目遣いに私を見る。 「…佐竹は知ってた?田井中さんの結婚の話。」 「あー…まあ。うちの部の課長が田井中さんと仲良しじゃん?それで会話の中で何となくは。」 「そっか…」 真っすぐに向けられている視線がどことなく気まずくて苦笑いを作った。 「…結婚の事もそうだけど。田井中さん、私の事ペットのフレンチブルドックと重ねてたんだよ。…なんて言うかダブルパンチな感じ。もうダイエットしなくていいかって思っちゃった。」 「……悔しいから見返すとかじゃなくて?」 一瞬箸を止めてしまった。 そっちの発想がなかった…。 勝手に勘違いして投げやりになって。私、本当に身勝手だな。 佐竹から目線を外すと、自嘲気味に笑った 「…とにかく、確かに告白しても意味が無なかった。佐竹が言った事は正しかったのに、さっきは不機嫌になってごめんね?」 また麺を啜り出したら、佐竹が口を尖らせ再び不服顔を作る。 「…別にあれはそう言う意味で言った訳じゃないんですけど。」 体を起こし、肘をついて少し身を乗り出した。 「いくら婚約者がいたって田井中さんが真由子さんに惹かれているなら告白されたらイエスなんだろうから。 けどね?それで俺が真由子さんを諦めるわけじゃないから。」 好戦的に変化した目つきが彼のウリである“可愛さ”を残したまま、その表情に”男”を纏わせる。 「…どんなに遠回りしたとしても、真由子さんと最後に付き合うのは俺だよって事。 だったら始めから告白なんてしなきゃ近道じゃんて話しでしょ?」 更に佐竹の顔が近づいて、唇同士が触れ合った。
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