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それから再び、湯を入れ直して普通に風呂に浸かった。
そしてバスローブ一枚だけ身に着けて、ムードもクソもない馬鹿げた会話をしながら ルームサービスの食事に舌鼓を打つ。
それもまたなんとも間抜けで、僕たちらしいと言えば僕たちらしい。
ベッドの上で缶ビールで乾杯、食い散らかして飲み散らかして、バラエティ番組が付いていることも気にせずまた抱き合った。
「そういえば、なんでわたしがあのワンピース着たいって分かったの?」
「あー……。実は前に、伊月さんがショーウィンドウの前であのワンピースに見入ってるところを遠目で見かけたんですよね。似合うだろうなーって」
「嘘つけ」
「……まあ、意外ではあったけど、ドレスアップしたら着こなせるだろうなと思いました」
「ありがとうね。絶対に着ることないと思ってたからびっくりして、お礼言うの忘れてた」
「明日、あれ着てちゃんとデートしようよ。琉斗、何時に帰るの?」
「四時前に迎えに行くって言ってあるの。だから三時までなら大丈夫。着替えとかないとさ、あんな服で迎えに行ったら具合悪いでしょ」
「髪は?」
「髪は仕方ない」
「三時までシンデレラだね」
「三時になったら魔法が解けちゃうのか」
「日曜日は?」
「本当は休みなんだけど、店に出る予定」
「じゃあ俺も行こうかな」
「手伝ってくれるの?」
「いや、モーニング食べに……」
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