エピローグ

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「この子には、争いのない世界で育って欲しいなあ・・・・・・」 「それには、俺たちが早く片を付けないと」 「・・・・・・ん、そうだね」 「本当に、戦争を始めてもいいのか?」  エルヴィスは瞳を揺らしながら、俺の肩に手を置いた。 「お前は、まだーー」 「マースとはいずれ決着をつけなきゃいけない。聖騎士団は、俺たちやこの子の障害になる」  先日、王国全体の集会で、俺は開戦を宣言した。  この先ヴァンパイアが安心して暮らすため、聖騎士団との全面戦争を開始する。  できれば避けて通りたい道だったが、この数ヶ月の間にも、仲間が大勢殺された。  俺はもう一国を背負う王だ。  王ならば、自分の配下たちを死んでも守らなくては。 「もともと俺がマースと始めたこと。俺の命と引き替えにしても、奴をーー」 「そんな事言うな!」  強く抱き寄せられ、俺はエルヴィスの腕の中にすっぽりと収まる。  従兄の・・・・・・伴侶の体が震えていた。 「もう二度と、お前を失いたくない。お前も、この子も、俺が必ず守る」 「ーーうん。ありがとう、エルヴィス」  この先なにが待ちかまえているか分からない。  俺たちも聖騎士団も、互いに無傷での勝利はあり得ない。  もし、俺の大切な人たちが傷つくのであれば、たとえエルヴィスが止めようとも、俺はーー。 「ライアン?」 「なんでもないよ」  不安げに見下ろしてくるエルヴィスの頬に手を添え、俺は目を細めた。  ちょうど、エルヴィスの後ろで太陽が顔を出したのだ。  まるで後光のように、エルヴィスを背後から照らしている。 「エルヴィス、愛してるよ」 「ああ、俺もお前を愛してる。ーー永遠に」  俺たちは互いを掻き抱き、愛を確かめるように、深く甘いキスを交わしたーー。 to be continue…
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