月光の中で

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古庄はうっすらと汗の浮かぶ硬い胸に、真琴を抱き寄せて、乱れた呼吸が落ち着くのを待つ。 真琴は大きく上下する古庄の胸に耳を付けて、その奥の激しい鼓動を聞いた。 「真琴……」 沈黙を破って、古庄が名前を呼ぶ。 「はい…」 真琴の返事を聞いて、古庄は体の向きを変え、真琴を懐深くに抱き込んだ。 抱きしめる腕に力が込められて、真琴は心地よい息苦しさを感じる。 「……愛してるよ」 真琴は息苦しさどころか、息をするのさえ忘れた。 古庄の言葉の響きが胸に刺さり、何も考えられなくなった。 先ほど告げられなかった大事な言葉を、今こそ伝えるときかもしれない。 自分も同じ気持ち…いや、きっとそれ以上に想っていると、言いたかった。 けれども真琴は、今古庄がくれた究極の言葉を飲み下すのに精いっぱいで、胸が詰まって何も応えられなかった。 ただ、体が震えて涙が込み上げてくる。 古庄の腕の中で、真琴は両手で顔を覆って泣いた。 それを察した古庄は、そのまま強く真琴を抱きしめ額にキスをし、優しく真琴の手を外して、頬を伝う涙を唇で拭った。 唇を重ねると二人の想いはまた高まって、再び恍惚の海へと落ちていく。 二人はそれから夜明け近くまで、何度も何度も溶け合って一つになった。
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