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「生まれましたよ! 元気な女の子ですよ」
助産師のその声も、酷くほっとしたようなものだった。
女の子。
女の子か、なんだかそんな気はしてた。
泣き声が小さいような気がするけれど、大丈夫だろうか。
陽介さんは、どこだろう。
そんなことを考えながら、また意識は沈んだ。
後から聞いた話だと、出産の間僕は意識が朦朧としながらも陽介さんとの受け答えはしっかりしていたらしい。
それがいきなり、糸が切れたように反応がなくなったため脳出血や体内での大量出血が疑われ、一時騒然となっていたとのことで。
それを聞けば、納得もできるが。
そんなこととは露知らず、次に声をかけられて目を開けた時、赤ん坊ではなく陽介さんの泣き顔がかじりつかんばかりに目の前にあって
「え、よ、陽介さん?」
「真琴さん……良かった、良かった」
ぼたぼたぼた、と涙が落ちてくる。
一体何事か、と驚いた。
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