第一章 幽霊タクシー

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   結局、菜切の言う宿を予約し、菜切に連れていってもらうことになった。  一度、帰ってまた明日来るのも大変そうだったからだ。  幕田にあとで請求してやる、と思いながら、灯りのない山道を眺める。  少し雨が降って来ていた。 「そういえば、知ってます?」 と菜切が突然、口調を変えて話し始めた。 「この辺り、幽霊が出るんですよ。  傘を差した男の霊。  雨も降ってないのにですよ。  それで、乗せると、住所と番地を言うんですけど。  それをナビに打ち込むと、そこ……  霊園なんですよね」   「雨の日は?」 と晴比古は、菜切に訊いた。 「は?」
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