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甘いと言われればそれまでだし。
バカだと言われたってその通りだ。
けれど俺はどうしても三崎に事の真相を説明する事ができない。
竹下の成長がきちんと周りに認められた時。
その時に必要であるならばちゃんと話そう。
それはきっと、そう遠くないはずだ。
「もう少ししたらちゃんと話すな?」
「うん。大丈夫」
微笑む三崎の表情からは、疑いも不安も見て取れない。
彼女もきっと俺の考えを悟り、理解してくれているのだろう。
「ねぇ、柴垣くん。一体いつから私のこと見ててくれたの?」
恥ずかしそうに恐る恐る聞いてくる三崎は、今も昔も魅力的だ。
可愛らしい学生から立派な女性に変貌を遂げてくれはしたけれど、この笑顔だけは変わらない。
「そんなの…最初からだよ。初めて会った時から」
「えええっ!?」
俺の答えはよっぽど意外だったのか。
大きく疑問も声に表す三崎に、今度は俺が少しむくれてしまった。
「なんだよ、その嫌そうな驚きは。一目惚れなめんなよ。コロッと簡単に落ちて、もうすぐ6年だ」
「……ウソみたい」
そうだろうな。
こんなこと、正直俺自身が一番驚いてんだから。
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