呪詛返し

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 ボクたちは毎年歳をとる。でもボクだけ五歳の身長のまま。今年、女の子は十八歳くらいの腰まである長い黒髪が印象的な美少女になっていた。そして、艶やかな笑顔でボクの手を取って言ったのだ。 「一緒にここから出よう」と。 『次のニュースです。F県の山中の川原から白骨化した子供と思われる遺体が発見されました。第一発見者は犬の散歩にきていたA氏で、側にある山小屋からは死後数日たった五十代の男性と十代の女性とみられる一部が白骨化した遺体も見つかっており………』  薄暗い部屋でテレビを見ていた青白い顔の女が質素な夕食の箸を止めて不気味で病的な笑みで呟いた。小さな矛盾に気付くこともなく。 「彼方(かなた)と春香(はるか)だわ。仇をうったの。神様が天罰を与えたのよ」  食卓の隣の仏間には謎のお札がたくさん貼られた不気味な祭壇があり、蝋燭の薄明かりに日本では見たことのない異形の神が照らされていた。
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