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カズヤは明かりを奥の通路の方へ向けた。五メートルほどで右へ折れていた。
両側の壁は屎尿をかけられ続けたように黒ずんでいる。ただでさえ、内装はおどろしく作られているのに、閉園されて月日がたち、廃墟としての凄みまで加わっていた。
「奥に続いているんだ。このお化け屋敷、全長が二千メートルもあるんだぜ」
少年は震え上がった。まるで地下に続く洞窟の入り口を覗き込んでいる気分だった。
「本来なら、ここはゴールなんだ。お化け屋敷の入口から案内したいところだけど、あっちは鉄板で塞がれているから、今夜は通常のコースを逆回りしていく。でもまあ、意外なものが意外な場所で出てきたりして、それはそれでおもしろいんだぜ」
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