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その奇妙な店は一見、普通の民家のようにしか見えなかった。
いや、普通ではない。豪邸か。
『かいとります』
と小さな看板が出ている。
私はそっと門に手をかけた。
鍵がかかっている。今日は休みなのかしら?まぁ、特に買い取って欲しいものもないしね。
ちょっと肩をすくめて歩き出した。
「お姉さん、そのドア、引く。じゃなくて押すんだけど…」
小学校3、4年生くらいだろうか?透き通るような金髪に青い瞳の美少女が立っていた。まるで人形のようだ。
「えっと…聞こえている?」
つい、見とれてしまった…というか日本語?
「入らないの?」
「うん。買い取ってもらうもの、持ってきてないの」
「大丈夫よ。」
少女はドアを押して私に入るように促した。
「うち、滅多にお客さま来なくて暇なの。来てくれるだけで大歓迎よ」
そうして私はその奇妙な店に足を踏み入れた。
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