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「えっ?」
友樹は全く何の事かわからないようで、正を見てきた。
「あの、彼、栄くん。今高校三年生で今日は大学の見学に来たんだ。」
簡潔に説明すると、友樹は「何で俺が?」とやはり正に説明を求める。
「友樹、サークルとか詳しいじゃん。サークル棟のほう案内してやってよ!」
無理やり友樹に栄を押しつける。
秀が「あのこと悪いと思ってるなら案内してやってくれるよな?」と微笑むと、友樹はじっと秀を見つめた後、こくりと頷いた。
「じゃあ行こうか、栄くん。」
友樹はいつもの人懐っこい笑顔で栄に手を差し伸べた。
「う…、うわ~!助かります!水無くんの彼氏、めちゃくちゃ怖かったっす!!」
栄は助け船に縋りつくように友樹の方に身を寄せた。
「えっ。」
正としては、せっかく自分を頼ってやって来た栄を、最後まで自分の責任で構内を案内したかったのに。
大人しく後を着いてきている様子だったが、正には分からないプレッシャーを秀は栄に与えていたようだ。
ジロリと秀を睨む。
「あっ…、あはっ…」
秀は気まずそうに頭を掻いた。
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