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次の日の昼休み時間。 涼子にトイレに行ってくると言って、私は美術室へと向かっていた。 戒めていたものを解禁するような後ろめたさからか、なんとなく足取りは重いけれど。 わかっている。 自覚している。自分の意志の弱さ。 「……」 “スランプ”って言ってた……桐谷先輩。 どんな絵を、描いてるんだろう。 ……ちょっとだけ。 ちょっとだけ覗いて帰るだけ。 あ、あとついでに、美術準備室に保管されてある先輩の去年の作品を、久しぶりに拝ませてもらうだけ。 頭の中でここに来る理由と言い訳を何度も繰り返しながら、私は美術室の前で立ち止まり、ドアをゆっくりと開ける。 後ろのほう、いつも桐谷先輩の絵が立て掛けられているところまで行き、今現在制作中の彼の絵を探した。
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