第一章 置き去りの島

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 征響を含む高校三年組は、渋々船に乗った。 キャンプなどしたくはないが、他のメンバーが心配なので、保護者として同行するという。  テントや食料は、現場にあるからと説明されていた。  しかし、船から降りると、佳親が手を振り、将嗣が大笑いして船を出してしまった。  佳親は俺の親で、将嗣は横にいる、藤原 由幸(ふじわら よしゆき)の親であった。  嫌な予感がして、周辺を捜したが、民家も人の気配も全くない。 簡易的な船着き場以外は、何も無かった。 しかも、食料もテントもどこにも置いていない。 「あの酔っ払いども……」  悪ふざけも度を越している。
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