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「でも、みかんと一緒に暮らすようになってから俺の毎日は変わった。笑ったり、怒ったり、一生懸命だったり…そばにいてくれるだけで心が満たされる。そんな風に感じるようになったんだ。みかんと一緒に生きていたい。家族になりたいって…。
俺とこれから、ここから…家族の思い出を一緒に作っていってくれませんか?」
これは夢なんじゃないだろうか?
幻想的な青色の光がゆずの頬を照らす。頭で理解するよりも先に涙が自然と溢れ出ていた。
「俺と結婚して欲しい」
色んな想いが溢れてきて言葉にならない。私はただ首を縦にふることしかできなかった。
その様子をみたゆずは困ったような、ほっとしたような顔で微笑んだ。
そしてポケットの中から取り出した小さな箱。ゆずはその箱を開けると私の指にそっと指輪をはめた。
キラキラと光るそれは涙で滲んでよくわからない。だけど、今までもらったどんなプレゼントよりも重くて価値のあるものだってことはわかる。
「そんな泣くなよ。俺がいじめているみたいに見えるだろう?」
私の頬に伸びた手が優しく涙を拭った。
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