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「だって、そうじゃん。ゆずが…」
やっと絞り出した声。自分が思った以上にか細くて、精一杯の強がり。
嬉しくて嬉しくて仕方ないのに。
「本当に困った奴だな」
そう言うとゆずは私を抱きしめた。大きな温もりに包まれる。トクトクとゆずの鼓動が聞こえた。
ゆずは全部わかっている。
私がどういう人間でどんなことを思っているのか。この人には一生敵わないんだと思う。
「ゆず…私をお嫁さんにしてください」
顔を上げると目を見開いたゆずの顔が目に入った。絶対顔はぐちゃぐちゃだ。だけどそんなことどうでもいい。この想いが伝われば…
「あぁ。喜んで」
優しく微笑むゆず。
私はなんて幸せ者なんだろう。
おじいちゃん、おばあちゃんになってもこうして側で寄り添って生きていきたい。
そんな風に心の底から思える人に出会えるなんて。
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