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ジリリリリリリリリ…
部屋に鳴り響くベルの音。
眼を閉じたまま眠りを妨げる元凶を鎮めようと手を伸ばした。
ところが私の手がそれを探り当てるより先に再び静かになった部屋。
あぁ、誰か止めてくれたんだなぁ。よかった。もう少し寝よ…
ん?誰か??
未だ目覚めない頭の中でゆっくり考える。
え?誰???
勢いよく瞼を開くと目の前にあったのは長い睫毛を揺らす、一人の男性。
「なーんだ、ゆずか…。ん?ゆず???」
どうしてここに彼が?
だってここは日本ではなくアメリカ。
ゆっくりここ数日間に起きた出来事を整理する。
寝ぼけていた頭がだんだんクリアになってきた。
留学のためアメリカに渡って2ヶ月とちょっと。
彼と離れ離れになっていたんだけど…
突然私の前に現れたゆず。
夢かと思ったけど、それは紛れもないゆずだった。
彼も留学することになり、再び同居生活を始めることとなった私たち。
「寝顔は可愛いのにな…」
そう、寝顔はね。
黙っていればね。
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