めくられないカレンダー

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細くて美人で優しかったけれど、大嫌いで意地悪をした。  式の前に控室にシュウと行った。 歩兄とお嫁さんは写真を撮っていたか何かで部屋にいなかった。 私は置いてあった真っ白なエナメルの靴を彼女より先に履いたのだ。すいっと視界が高くなって違う景色が見えた。  歩兄のお嫁さんになるのは私なのに、そう思いながら鏡の前に立った。その瞬間、かくっと脚をひねってハイヒールの踵が外れたのだ。 「あ!」 「どうした?」 シュウは泣き出しそうな私を見て困ったように笑った。 「……どうしよう」 「……」 靴を持ってシュウは控室を出ていった。私はいてもたってもいられない気持ちで部屋の中をうろついた。 惨めな気持ちだった。 きっと怒られる。そう思って、なんといって彼女に謝ろうかと思っているとシュウが戻ってきた。 キチンとはまった踵の靴をあった場所に置くと私の顔を見て笑った。 「プランナーの人に見せたらすぐなおしてくれた」 「あの……私」 「……秘密」 シュウは学ランを着て、まだ幼さの残る頬を緩ませると再び笑った。 泣きたい気分だった。 惨めというのはこういうことなのだと知った。 リングガールとかいうのをやるために、シュウのママとうちのママで選んだコスモス色のミニドレスを着て、ツインテールにした髪を巻いてもらってグロスをつけてもらった私は、この場から逃げ出したい気分だった。 「……シュウ、ごめん。ありがとね」 シュウは微笑んで頷いただけで何も言わなかった。 小学校の先生になっていた歩兄の生徒たちからのビデオメッセージや、お嫁さんの友達のチアリーダーの人たちの演技で盛り上がり、本当にいい結婚式だった。 式が終わった後、靴を壊した私にお嫁さんは笑顔でリングガールのお礼を言うと小さなブーケをくれた。 「幸せのお裾分けよ、次はマイちゃんが誰かに幸せのお裾分けをしてね」 泣きそうだった。 自分が恥ずかしくて、情けなかった。 私は贖罪のつもりなのか、高校に入るとチア部に入ったんだ。 そんな事を思い出しなから、もう人の物になってしまった、歩兄の机に手をついた。 「……」
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