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私にとっての懐かしい味は
父が作ってくれたハンバーグ。
【おふくろの味】ならぬ【親父の味】。
そのハンバーグがとてつもなく美味しくて
お店のものなんて目じゃなかった。
父が作るハンバーグは世界一だと言っても過言ではない。
でも、もうそのハンバーグを口にすることは
二度とない。
数年前に父は病気で亡くなったから。
食べたいと思っても、二度と食べられない。
まだ若かったのに......
親孝行してないのに......
お父さんのハンバーグ、もっと食べたかったのに......
そう嘆いても、父は帰ってこない。
分かってる。
父を思い出しながら泣いていると
母がハンバーグを作ってくれた。
見た目は父のハンバーグとほとんど変わらない。
だけど食べてみると、味は全然違う。
だって、父のハンバーグじゃないから。
母はそれから何度もハンバーグを作ってくれた。
母も父のハンバーグの味が忘れられないらしい。
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