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まさかクラスの男子にまで、あんなふうに言われるとは思わなかった。
もし黒田君がいなかったら、僕はどうなっていたかわからない。
「つかお前さ、イヤならイヤってハッキリ言えよ。
そうしないと、アイツらも調子に乗るだろう?」
「ご、ごめんなさい……」
あまりに怖くて、声にならなかったんだ。
それにイヤって必死に言ったって、他校の生徒はやめてくれなかったし。
なんてことを思う僕は、やっぱり情けない男なのかな。
「お前、明日も気をつけろよ」
「う、うん……」
何をどう気をつけたらいいのか、わからないけど。
「あぁ、そうだ」
突然ひらめいたように、すくっと椅子から立ち上がる黒田君。
「お前、そこの角の布団で寝ろ」
「えっ?」
どういうこと?
「-で、俺がお前の隣に寝るから」
黒田君にそう言われて、僕は目をパチパチとさせた。
「さっきのヤツらが寝ているお前に何かしたらいけないから、俺が壁になる。
大丈夫だ。誰にも変なことはさせないし、もちろん俺も何もしない」
そう言って布団の上に自分の荷物を置く黒田君を、僕はただじっと見ていた。
何を言ったらいいかわからなかったし、何もしないと言った黒田君の言葉が僕の胸に突き刺さっていたから。
彼女のいる黒田君が、僕に何かするなんてこれっぽっちも思ってない。
だからそんなこと、あえて僕に言う必要なんかなかったのに……。
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