はじめに

2/4
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
 はじめまして、あるいはいつもお世話になっています。野井田 区論と申します。  この度、『Chronological Sketchbook』と題して、こうして短編集と言いますか、過去に自分が書いたものの、なかなか埋もれて日の目を見ないスケッチ的な作品群を、「Chronological(順番に)」という単語通り、時系列順にまとめさせていただきました。  というのも、僕はこれまで色々な文章を書いてきましたが、中でも小説、つまりフィクションというものは、一番僕の生々しいところをモロに出していると思うんですね。まぁ、僕の馬鹿げたところだったり、ふざけたところだったり、かと思えば真剣に悩んでいることだったり。取り繕いようのない自分が、一番如実に表れているのではないかと(笑)  そういう意味で、僕の中にある「届いてほしいもの」を届けるためにも、本作がまずあなたに最初に差し出す右手となってくれればいいな、なんて、そんな期待をしています。  それは届かないのかもしれないし、また届かないことが決して悪いというわけではないのだけれど。それでも、こちらが「届いてほしい」と思うなら、最低でも「届けよう」としつづけることは大事だと思うのです。  なんてことをつらつら書きつつ、収録作品について大まかなあらすじを記しておきます。「たくさんありすぎて読む気が起きない!」という方は目次と照らし合わせつつこちらを参考にしていただければと思います。初出は各章に書いておくので割愛。  まず『P』という作品について。こちらは十六ページの作品となっておりますが、雰囲気的には一ページの作品が十六話あるという印象が強いです。初出時から一話を削除し、代わりに書き下ろしで二話分加えさせていただきました。  物語というか、前から順番に読んでいくしかない本(あるいは上から下に読んでいくしかない文章)という形態の、その構造をいじくりまわした実験的な作品です。各話バラバラに読んでいただいても構いませんが、あっちの話でこっちの話のヒントを出してるということが頻繁にありますので、是非、この十六話が一つの作品としてまとめられた意味みたいなことを感じていただければなと思います。  次の『全国浪人生クイズ』は『P』に比べると一気に馬鹿馬鹿しくなって(笑)、読みやすさではこちらの方が上かな、なんて思ったりもします。 ページ数も三ページと、かなりお手軽。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!