4章 風が吹く

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「ハヤオさん!」 見下ろすと。 アキジが。 肩で息をしながら。 こちらを見ていた。 「レーダーは復旧させましたよ」 「君の兄が、出るよ」 塔の色が白く変わる。 拘束が緩んで。 「まあ、  仲良くやろうよ。  ハヤオ」 ユキは。 腕を解くと。 ハヤオを跨いで。 梯子をするすると降りていく。 「結局、警報が鳴らないのは、  何だったの?」 アキに聞いてみると。 「恒星からの風ですよ」 「風?」 「惑星を照らす、  惑星の何万倍もの大きさを持つ、  自ら光る星が、  すぐそばにあるんです。  その星は、  目に見える光だけじゃなく、  見えないエネルギーも飛ばしてて、  それを風と呼んでるんです」 「見えないエネルギー」 「常にあるけど、  急に強まることがあって、  そうなると、  発電所とか、  電気がたくさん集まる場所で、  いろんな不調が起こるんです。  調べたらやっぱり、  風が強くなってました」 恒星の風。 「リーダーが言ってた風って」 「その恒星風のことです」 最初に警報が鳴らなかった時。 アキは走って十二時班のところへ行った。 通信が乱れてることに。 気づいたんだろうか。 空では、白い光を受けながら十八時班が飛ぶ。 「ありがとう、アキ」 「え?」 アキはハヤオの礼に。 微笑んで首を傾げた。 ハヤオは気づいていた。 アキの目が。 ハヤオよりもずっと。 遠くの空まで見通していることに。 ハヤオが気づいたことに。 アキも気づいたことを。 ハヤオは気づいていた。 見るべきものが見えるとはなんだろう。 アキは違うのか。 トーマやマキも、ナツイチも違うというのか。 「俺、掃除屋になるのかな」 「そうですよ」 アキはあっさりそう答えた。 「最初から決まってます」 「最初?」 「1番最初から」
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