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かなりびっくりしたけれど、不安もないわけじゃないけれど、なんだかどうでもよくなってくる。
ルイと一緒にいられるのなら、他のことはどうでもいい。
だって、もう、ルイがいない人生は考えられない。
隣にいるだけでこんなにも心が安らぐ存在は、きっと私にとってはルイだけだと、確信を持って言える。
だから、私は言った。
「ご予約、承りました」
こみあげる笑いとともに答えて、ルイの手を握り返す。
ルイもくすくすと笑っていた。
―――新しい物語が始まる。
私には私の物語があるのだ。
これから私が紡いでいくのは、ルイと私の物語だ。
リヒトの物語とは、きっと、もう二度と重なることはないだろう。
リヒトが共に物語を紡ぐのは、いったいどんな登場人物なのかな。
決して私が知ることのない物語。
でも、その物語が、どうか、幸福なエンディングを迎えますように。
私は心の中で祈った。
*Fin.
スピンオフ作品、『いとしい傷痕』
リヒトと『れい』の物語です。
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