奇妙な店

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その奇妙な店は、神社の脇にひっそりと建っていた。   昔はおばあさんが一人でやっていたが、最近は若い男性が店番をしていた。聞いてみると、男性はおばあさんの孫で、おばあさんは体調を崩して入院してしまったらしい。  「このお店って、何屋さんなんですか?」  店の前を箒で掃除していた男性に、私は声をかけた。前から興味があったが、なかなか聞けなかったのだ。  私の言葉に、男性は少し考える素振りを見せて。  「このお店にお客様が来てるところ、見たことありますか?」  と、逆に不思議な質問をしてきた。  私は首をかしげる。  「ありますよ。昨日だって、着物みたいな不思議な服を着た子供たちが、買いに来てましたよね?」  繁盛してるとは思わないが、ちらほらと客の出入りはみかけている。  それを伝えると、彼は嬉しそうに頷いた。  「ええ、あの方は隣町の神社の使いの方です。狛犬なんですよ」  「狛犬?」  狛犬とは、神社の前に左右に建っている石像のことだ。  男性の言っている意味がわからない。そんな私の考えを察したのか、彼は楽しそうに笑った。
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